大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和29(あ)2127 判決

主 文

本件上告を棄却する。

当審における訴訟費用は被告人の負担とする。

理 由

被告人の上告趣意について。

論旨は事実誤認の主張に帰し適法な上告理由とならない。

弁護人成富信夫の上告趣意について。

論旨は判例違反を主張する。しかし所論援用の判例は横領罪に関するものであつ

て、詐欺罪たる本件(原判示第一の事実)に適切でない。(のみならず刑法二四六

条一項詐欺の訴因を同条二項詐欺の認定に変更する場合のごときは、訴因変更手続

を要しないものと解するのが相当であり、被告人の防禦を困難ならしめる虞もない

のが通常である。殊に本件は被告人の無尽に関する債務を肩替りさせるために新た

に無尽の契約をなし、その新たな契約による給付金で旧債務を弁済した形式をとつ

た事案であるから、欺罔により新契約による給付金を受領したといつても、既存債

務と対等額において相殺して、財産上不当の利得を得たといつても、事実関係は大

差ない。しかも原審は右相殺の事実を、被告人や弁護人の控訴趣意における事実誤

認の主張を容認して認定したものであるから、被告人側の防禦に何等支障はないわ

けである。)

また記録を調べても刑訴四一一条を適用すべきものとは認められない。

よつて同四〇八条、一八一条により裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決す

る。

昭和三一年六月五日

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 河 村 又 介

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裁判官 島 保

裁判官 小 林 俊 三

裁判官 本 村 善 太 郎

裁判官 垂 水 克 己

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